新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症にも再生医療

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で国内でも数千人規模の感染者が発生していますが、急性期症状が改善した後も後遺症に悩まされる方も少なくはありません。

また、後遺症の中でも、呼吸器症状の持続や嗅覚・味覚障害は若年層から高齢者まで幅広く出現していると考えられています。しかし、その発生機序は明確にされておらず、現在も原因究明に向けて、世界中で研究が進められています。

嗅覚は、嗅粘膜内の嗅神経(嗅繊毛)において、無機物や有機物の分子(匂いの素)が嗅繊毛の先にある嗅覚受容体に結合することにその匂いを感じています。 嗅覚受容体はヒトでは約400種類あり、刺激される受容体からの信号のパターンや強度の組み合わせによってにおいを嗅ぎ分けることができると考えられています。

嗅覚障害の原因に関しては、
①気導性嗅覚障害(器質変化などで嗅粘膜へ匂いが届くルートが遮断されるもの)
②嗅神経性嗅覚障害(匂いの伝達に関係する神経が損傷されたもの)
③中枢性嗅覚障害(嗅・味覚刺激を認知する中枢領域の障害、のどこかの障害により発生する)
と考えられますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染後比較的長期間にわたり嗅覚障害が持続するケースが多いため②③の関与が大きく影響していると考えられています。

そこで今注目されているものが、培養上清液の点鼻投与です。点鼻投与は、嗅球から細胞間質を経て脳介在部に至る経路、および三叉神経から脳幹、脊髄に至る経路により、高濃度を維持したまま脳内に到達することを可能にします。

外傷性損傷や重篤な器質性変化がなく、適切な投与が可能であれば、損傷が疑わしい経路(上記②③)に上清液成分が直接作用することで、細胞の再生を促すことが期待されているのです。

まだまだ発生機序や作用機序が不明な点が多い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ですが、培養上清液は予防(免疫力向上)と重篤化予防(特に呼吸器症状重篤化予防)、そして後遺症(全身状態の改善、嗅覚・味覚障害)改善にまで、幅広く活用できる注目の治療法となっています。